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概要:マイクロソフトは着々と広告事業を伸ばしており、将来的には売上規模を現在の2倍となる200億ドルにまで増やしたいと考えています。 同社の広告事業を率いるロブ・ウィルクらへの取材から、マイクロソフトが広告分野でどのような戦い方をしようとしているかを展望します。
REUTERS/Mike Segar/File Photo
2015年のこと。ロブ・ウィルクはマイクロソフトの広告部門に転職しようか検討していたが、同社が本当に広告ビジネスに注力するかは怪しいものだと思っていた。
当時のマイクロソフトは、吸収合併したディスプレイ広告会社アクアンティブ(aQuantive)の買収額63億ドル(約8900億円、1ドル=140円換算)の評価損をほぼ全額計上し、広告配信サービスであるアトラス(Atlas)をフェイスブック(現メタ)に売却し、ディスプレイ広告事業をAOLに譲渡したところだった。
マイクロソフトの広告部門を率いるロブ・ウィルク。
Microsoft
そのウィルクは今、100億ドル規模となったMicrosoft広告(Microsoft Advertising)の事業を率いている。2022年にAT&Tの広告部門であるザンダー(Xandr)を買収したことは、ネットフリックスとの広告販売契約を勝ち取るうえでも有利に働いた。
ウィルクの部門には経営トップからも目をかけられている。マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは先ごろ、投資家向けの決算説明会で広告部門を称賛した。
10月にInsiderが取材した際、ウィルクは次のように語っていた。
「私たちは広く注目を集めるに足る存在だと思っていますし、今そうなりつつあります」
ウィルクは「いつ」という具体的な時期こそ言及しなかったものの、マイクロソフトは現在、広告事業の規模を倍増させることを標榜していると明かした。Insider Intelligenceの推計によると、マイクロソフトが広告収入で200億ドル(約2兆800億円、1ドル=140円換算)を挙げれば、中国のテック大手テンセントを抜いて世界第6位のデジタル広告販売業者となる。
しかし現在の経済状況にあって、メタやグーグルといった広告大手も成長の鈍化に直面している。一方で、TikTok、アマゾン、アップルとの競争は激しさを増している。
こうした難局にあっても、マイクロソフトはいずれ世界的な広告プラットフォーマーの「ビッグ4」となる可能性がある——広告コンサルタントのマット・プロハスはそう見ている。
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持てるものすべてを集約できるか
Microsoft広告はBing検索、Xbox、MSNのほか、ザンダーを使ってデジタル広告を販売する何百ものウェブサイトを束ねている。最近では広告製品ラインナップの中に、クレジットカードや車などの縦型広告フォーマットを追加した。10月には「マイクロソフト・オーディエンス・ネットワーク(Microsoft Audience Network)」を66の新市場に拡大させた。
(注)PC、スマートフォン、タブレットなどのインターネット接続可能なデバイスに表示される各種プラットフォームの広告を含む。ここでの広告収入とは、パートナーサイトへ支払うトラフィック獲得コスト(TAC)を控除した額。 *アリババの中核コマース事業および傘下の動画サイトYoukuとTudouの広告収入を含む。 **中国における小規模資産を除く。
Source: eMerketer, March 2022.
Insiderが取材した広告バイヤーたちからはこんな要望も聞かれた。マイクロソフトは広告製品ラインナップ全体のオーディエンスデータを活用して、一箇所でもっと容易に広告を購入しやすくする必要がある、と。 匿名で取材に応じた広告テクノロジー企業の幹部は、「チーム間での意思疎通はない」と話す。
10月に取材した際、ウィルクももっと簡単に製品をまたいだ広告購入ができるようにしたいと語っていた。「やるべき配管工事が山ほどある」と。
またマイクロソフトは、広告事業でははるかに先行しているグーグルなどの競合他社といかに差別化するかも考えなくてはならない。ウィルクいわく、マイクロソフトはグーグルより「パートナー志向」なのだという。
ネットフリックスとの契約がターニングポイント
この点に関しては、ネットフリックスとの契約がマイクロソフトの新たな差別化ポイントになったと見る広告業界関係者は多い。
ネットフリックスは11月に広告付きプランを新たにスタートさせたが、同社はその独占広告パートナーとしてマイクロソフトを選んだ。これにより、企業はネットフリックスに広告を出稿する際、ザンダーのDSP(デマンドサイドプラットフォーム)から広告を購入できる(マイクロソフトには手数料が入る)。
当初ネットフリックスは60ドル(約8400円)以上ものCPM(インプレッション単価)を求めていたが、長い目で見れば大手ブランドから高い需要が見込まれるだろう、と広告の専門家たちは予想する。
調査会社レモネード・プロジェクトのトム・トリスカリは次のように語る。
「ネットフリックスはすぐに100億ドル(約1兆4000億円)の広告収入を得るまでになるでしょう。優れた媒体というのは稀少ですから、それだけ高く評価されます」
評価基準となるのは、ローンチ直後の盛り上がりが一服した後にどれだけの人が戻るかであり、マイクロソフトの広告事業にとってネットフリックスが長期的な収入源になるかも不透明だ。
Insiderは既報で、マイクロソフトがグーグルら競合を差し置いてネットフリックスとの契約を勝ち取ったことを報じたが、それはマイクロソフトがより高い売上保証を提示したからだ。
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本件に詳しい情報筋は、この契約はあくまで短期的なものであり、ネットフリックスがスナップ(Snap)の元広告事業責任者であるジェレミ・ゴーマンとピーター・ネイラーを引き抜いたことから見ても、ネットフリックスはいずれすべてを内製化しようと考えているのだろうと話す。
ネットフリックスとの契約について、ウィルクは「10年ではないが、2年よりは長い」と話しており、複数年にわたるということ以上のコメントは避けている。
Microsoft広告におけるゲーム分野の可能性
マイクロソフトはビッグテックの中でも特にゲーム分野に強みを持つ企業だ。
Microsoft
Microsoft広告の成長を牽引しうるもう一つの重点分野がゲームだ。
マイクロソフトは2022年1月、ゲーム開発会社アクティビジョン・ブリザード(Activision Blizzard)を687億ドル(約9兆7000億円)で買収する計画を発表した。現在は規制当局の厳しい調査に直面しているが、もし無事に買収が完了すれば、マイクロソフトはこれを機に広告売上を増やせる可能性がある。
特にゲーム内広告はマイクロソフトならではのセールスポイントとなる(ザンダーを通じてしか広告を購入できない場合はなおさら)可能性がある、と広告バイヤーたちは話す。
マイクロソフトは既にXboxのホーム画面の広告を販売しており、無料のゲームとクラウドベースのXboxゲームに広告を配置できるようにするシステムを開発中だ。
とはいえ、Xbox関連の広告商品とそれ以外のMicrosoft広告の商品ラインナップをセットで販売できなければ「空振り」に終わるだろうと話すのは、Microsoft広告の元幹部ジョン・リーだ。リーは10月にマイクロソフトを退職し、広告代理店クリックス・マーケティングに移籍した。
ウィルクは、マイクロソフトはゲーマーに嫌がられない広告配信の仕方を工夫すると話す。
「我々は普段やっていることをこれからもやるまでです。最速ではありませんが、思慮深さにかけては我々が一番でしょう」(ウィルク)
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