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概要:4月の貿易収支は9304億円の赤字となり、5600億円の赤字という予想を大幅に超えた。コロナショックが主軸の自動車輸出を大幅に減少させ、2020年だけでなく21年以降も貿易赤字が継続する可能性が出てきた。日本の「稼ぐ力」が衰退している中での危機発生は、マネーフローにも大きな変化をもたらし、いずれマーケットでも大幅な「円安」懸念が材料として意識される時が来るだろう。 <大幅減の自動車輸出> 4月貿易収支の特徴
田巻一彦
[東京 21日 ロイター] - 4月の貿易収支は9304億円の赤字となり、5600億円の赤字という予想を大幅に超えた。コロナショックが主軸の自動車輸出を大幅に減少させ、2020年だけでなく21年以降も貿易赤字が継続する可能性が出てきた。日本の「稼ぐ力」が衰退している中での危機発生は、マネーフローにも大きな変化をもたらし、いずれマーケットでも大幅な「円安」懸念が材料として意識される時が来るだろう。
<大幅減の自動車輸出>
4月貿易収支の特徴は、輸出の減少が輸入に比べて大きかったことだ。輸入が前年比7.2%減だったのに対し、輸出は同21.9%減だった。輸出の約2割を占める自動車が50.6%減となるなど、輸出減少21.9%のうち、10.8%を輸送用機器が占めた。
新型コロナの感染が世界中に広がり、自動車の需要が弱くなったことに加え、感染拡大による工場の停止で部品が入らないという供給サイドの問題点も表面化したためだ。
米欧諸国では、経済再開に向けた動きが目立ってきたが、「を動規制」が全面的に解除されたわけではなく、国境をまたいだ人とモノの動きが元に戻るのは、1年以上先になるとの予測が各国の研究機関から出ている。
また、ワクチンや特効薬の開発が遅れており、人々に「安心感」が戻り、経済活動がいつ正常化するのか、そのめどは立っていない。安心感が戻らないうちは、世界中で自動車や住宅の購入は手控えになるだろう。
とすれば、日本の輸出の主力である自動車の生産がコロナ危機の水準に戻るのは、どんなに早くても1年半以上先になる。中国向けが好調な半導体電子部部品は、同0.2%増と孤軍奮闘した。だが、中国でのスマートフォン生産の回復に助けられるのは一時的だろう。米経済の立ち直りの時期が見通せない中で、中国でのスマホ生産はいずれ対米輸出の伸び悩みで在庫が溜まり、日本からの部品輸出にもブレーキがかかるリスクがあるからだ。
<3年連続の貿易赤字は確実>
一方、原油や食料品などの輸入は、景気の変動にあまり関係なく、一定の水準の量が継続する。輸出が減ったままで、輸入があまり減らずに推移する結果、貿易収支の赤字は基調として定着する可能性がある。世界経済のⅤ字回復が望めない中で、少なくとも2020年中の赤字継続の可能性は高い。21年以降も世界経済の回復がダラダラとした軌跡を描くなら、日本の貿易収支は赤字が継続する公算が大きい。
そもそも、コロナショックの前の2018年は1兆2246億円、19年は1兆6679億円の貿易赤字だった。20年も赤字が予想され、3年連続の赤字になりそうだ。
この背景には、1980年代から2000年ごろまでの電機と自動車で稼ぐ構造から、自動車と部品で稼ぐ構造に変わったことがある。完成品で収益を上げているのは自動車だけになり、それ以外の分野は部品で稼いでいる。部品で稼ぐのも悪くはないが、完成品の組み立てとはマージン比率が違い過ぎる。アップル(AAPL.O)と日本の部品メーカーの収益力を比較すれば明らかだ。
<ジリ貧をドカ貧に変えるコロナマジック>
コロナショックは、じわじわと進んでいた日本の産業の衰退テンポを「超短期間」に縮めてしまった可能性がある。金融市場関係者の多くは、貿易赤字が増えても「為替に影響なし」と高をくくる傾向があった。貿易赤字の拡大が経常収支の赤字転落となり、それが対外資産の取り崩しにつながるには時間がかかると思ってきたからだ。
確かに1000兆円を超える対外資産の威力は甚大で、公的債務が国内総生産(GDP)比で2倍を超えてもびくともしない「信用」を築いている。
しかし、新型コロナウイルスの第2波が今年の冬にも襲来するかもしれず、さらに近い将来の別のウイルスが広がった場合、日本が持てるはずだった「時間的余裕」をあっという間に奪い去って、日本と円の信用を動揺させることがないとは言い切れない。
それは、世界中で財政の大盤振る舞いをしても、経済の危機が去らないのを見れば明らかではないか。
衰退した稼ぐ力を取り戻すには、ウイズ・コロナやポスト・コロナにおける社会の変化を先取りし、リードしていく先見性と対応できる知力を発揮していくことが重要だ。米国では早速、テレワークの恒久化とオフィスの削減の検討が始まっている。日本に住む人々の間でも、新しい変化に気づき、今までとは違った行動に移ることが多くなるのではないか。
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